外壁塗装には、いくつかの工程がありますが、その中でも重要なのがケレン作業です。
外壁塗装では、塗料を長持ちさせたり、家屋の劣化を防ぐことが重要ですが、ケレン作業が大きく影響します。
この記事では、ケレン作業の必要性と種類、ケレン作業を依頼する際の注意点などについて解説します。
外壁塗装を検討している方は、ケレンの重要性を理解する上で、ぜひ参考にしてみてください。

外壁塗装のケレン作業とは？

ケレン作業とは、外壁塗装の際に行われる下地処理のことです。
ケレン作業では、外壁や屋根などにあるサビや古い塗装を除去します。
このケレン作業は、円盤型のサンドペーパーを回転させて外壁を研磨するディスクサンダーという電動工具や、ケレン作業用のハンマーなどを使って作業を行います。

ケレン作業をする理由

外壁塗装において、ケレン作業をする理由には、以下の2つがあります。

• 下地を整える
• 塗料の密着性を上げる

このそれぞれについて、詳細に解説します。

下地を整える

ケレン作業をする理由の1つが、下地を整えるという点です。
外壁にサビや汚れがある状態で、その上から塗装してしまうと、塗料が外壁にうまく密着せず、すぐに剥がれてしまうことがあります。
そのため、塗装を行う前に、ケレン作業で汚れなどを削ぎ落として、下地を整えておきます。
ケレン作業で下地処理をすることで、外壁塗装の仕上がりがきれいになり、その後も塗装が剥がれることによる家屋の劣化も防ぐことが可能です。
塗装の耐用年数を維持するためにも、ケレン作業は重要な作業の一つとなっています。

塗装を長持ちさせる

外壁塗装では、塗装を長持ちさせることが重要ですが、どれだけ性能がいい塗料を使っても、外壁にサビや汚れなどが付着している状態で塗装をすると、サビや汚れが塗装の下から塗膜に悪影響を及ぼし、長持ちしなくなります。
もしサビを残したまま塗装してしまうと、サビが塗膜の上で成長し、最終的に塗膜を破ってしまうこともあります。
また、サビの成分が塗料の耐久性を下げ、施工した直後であっても、塗膜の剥がれや浮きが発生してしまいます。
仮に防錆剤を塗布したとしても、サビを根本的に除去していないと、外壁塗装はサビの影響が残ることになります。

塗料の密着性を上げる

ケレン作業は、塗料の密着性を上げるためにも重要です。
ケレン作業で外壁を研磨することで表面に細かい凹凸を作ることができます。
この凹凸があることで、塗料の密着性が上がり、外壁塗装の仕上がりがきれいになります。
表面に凹凸がないつるつるとした状態では、塗った塗料がすぐに剥がれることがありますが、ケレン作業をすることで、塗料が密着しやすい状態にすることが可能です。
塗料が密着することで、外壁塗装の仕上がりがよくなるだけでなく、塗料の耐久性も上がるため、家屋の劣化を防ぐこともできます。

ケレン作業の種類

ケレン作業には種類があり、1〜4種までの4つの作業方法があります。
それぞれの種類の作業の方法や特徴について詳しく解説します。

1種

ケレンの1種とは、ブラスト法と呼ばれる方法で行うケレン作業です。
ブラスト法とは、金属片などを含んだ研磨剤を吹き付けて表面を研磨することで、サビや腐食、塗膜を除去する方法です。
この1種は、一般家屋で行われることはほとんどなく、主に橋や船などで行われます。

2種

ケレンの2種とは、サビの範囲が広い場合や、外壁の状態が悪い場合に電気工具を使ってケレン作業を行う方法です。
1種と同様に、カビや塗膜を完全に除去することができます。
2種は、主に鉄骨建築の外壁などでよく使われます。

3種

ケレンの3種とは、サビの範囲が少ない場合に、塗膜を残しながら電気工具などを使ってケレン作業を行う方法です。
電気工具が使えないような狭い場所では、サンドペーパーなどを使って手作業でケレンを行います。
3種は、主に一般家屋の外壁や屋根でよく行われるケレン作業です。

4種

ケレンの4種とは、傷や汚れのある古い塗膜のみを除去するケレン作業です。
サビや腐食がほとんどなく、状態がいい外壁に行われます。
4種のケレン作業には、サンドペーパーや研磨スポンジなどを使って手作業で行います。

外壁塗装にケレンが必要な場合とケレンをしない場合について

外壁塗装ではケレン作業が重要ですが、ケレンが必要な場合とそうでない場合があります。
ここでは、ケレンが必要な場合と必要がない場合、ケレンをしなかった場合について解説します。

ケレンが必要な場合と必要がない場合

外壁塗装ではケレン作業が重要ですが、ケレンが必要ない場合があります。
まず、ケレンが必要なのは、

• 外壁にサビが発生している
• 外壁に、付着力の弱い古い塗膜が残っている

という場合です。

サビや古い塗膜を除去する必要がある場合は、ケレン作業が必要です。
一方で、ケレン作業が必要ない場合ですが、外壁にサビが発生していない状態で、古い塗膜も残っていない場合になります。
この場合は、サビや古い塗膜を除去する必要がないため、ケレン作業は不要です。
ただし、ケレン作業が必要かどうかについては、塗装業者が外壁の診断をしてから判断します。

ケレンをしないとどうなる？

先程はケレン作業が必要な場合と必要でない場合について解説しました。
もしケレン作業が必要なのに、ケレン作業をしなかった場合、どうなるかについて紹介します。

ケレン作業が必要なのは、外壁の表面にサビや古い塗膜が残っている状態です。ケレン作業を行わないと、その上から新しく塗料を塗ることになります。
ただ、サビは古い塗膜が残っているため、その部分はデコボコした見た目になるため、仕上がりはきれいになりません。
また、塗料がうまく外壁に密着しないため、塗装後でもすぐに塗膜が剥がれたり、浮き上がりが発生する可能性が高く、耐久性がかなり短くなることがあります。
ケレン作業には費用が発生しますが、ケレンをしない場合は、外壁の状態が悪くなり、再塗装が必要になるケースもあるため、ケレンは外壁塗装において必ず必要な工程です。

外壁塗装のケレン作業の費用の目安

ケレン作業にかかる費用は、ケレンの種類によって異なります。

ケレン作業の1種〜4種の費用の相場は、

1種：3,000～4,000円

2種：1,500～2,000円

3種：600～1,000円

4種：200～400円

となっています。

一般家屋では、ケレンの1種〜2種は行いませんが、ケレン作業が大規模になるほど費用がかかることになります。

ケレン作業を依頼する際の注意点

ケレン作業は、専門業者に依頼しますが、その際の注意点について解説します。

工事内容にケレン作業が含まれているかどうか

専門業者に外壁塗装を依頼した際、工事内容にケレン作業が含まれているかどうか必ず確認しましょう。
ケレン作業は、外壁塗装の耐用年数を上げるために重要な工程です。
もし工事内容にケレン作業が含まれていない場合、手抜き工事になっている危険性があります。
ケレン作業は必ず必要ではありませんが、ケレン作業を行わない場合は、その理由を確認しましょう。
ケレン作業を行うかどうかの説明が曖昧だったり、ケレンをいない場合の理由がはっきりしない場合は、悪徳業者の危険性があるため、依頼は避けましょう。

見積書を確認する

専門業者に外壁塗装の見積もりを依頼した際は、見積書の内容をよく確認しましょう。
ケレン作業が含まれているかどうかも重要ですが、何種のケレン作業を行うかについても確認が必要です。
また、費用が妥当かどうかも相場や相見積りで他社と比較することが確認しましょう。

ケレン作業を行う優良業者を選ぶポイント

ケレン作業は外壁塗装において重要な工程です。
そのため、優良業者に依頼するようにしましょう。
ここでは、優良業者を選ぶためのポイントを紹介します。

資格を持っている業者を選ぶ

外壁塗装は免許や資格がなくても行うことができます。
免許の有無が優良業者かどうかを決めるわけではありませんが、できるだけ免許や資格を取得している業者を選びましょう。

確認するべき資格は、

• 塗装技能士
• 外装劣化診断士
• 足場の組立て等作業主任者

の3つです。

塗装技能士とは、高い塗装技術と知識を保有していることを証明する資格です。
受験資格には、一定以上の実務経験が必要であるため、塗装技能士の資格を保有している業者は、塗装に関する知識や技術が高いと言えます。
外装劣化診断士とは、屋根や外壁の劣化状態を診断し、適切な修理方法をアドバイスできる資格です。
足場の組立て等作業主任者とは、外壁塗装などの際に足場を設置するために必要な知識を保有していることを証明する資格です。
作業員が安全に作業でき、事故が起こらないように指導するための資格となっています。

相見積もりする

外壁塗装を業者に依頼する際は、相見積もりは必ず取りましょう。
相見積もりを取ることで、複数の業者を比較することができます。
費用を比較することで、相場が理解できる上、詐欺や手抜き工事を見抜くこともできます。
相見積もりは、比較しやすくするため、少なくとも3社以上に依頼するようにしましょう。

まとめ

ここまで、外壁塗装におけるケレン作業について、重要性や種類などについて紹介しました。
ケレン作業とは、外壁塗装の前の下地処理のことで、表面にあるサビや汚れ、古い塗膜を除去する作業です。
ケレン作業をすることで、塗料の密着性を高め、仕上げをきれいにするだけでなく、塗料の耐用年数を高めることもできます。
ケレン作業には、1種〜4種があり、それぞれ費用が異なります。
ケレン作業は業者に依頼しますが、優良業者に依頼するために、見積書でケレン作業について確認し、業者が保有する資格を確認するなどが重要です。

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