塗装の基礎知識
無機塗料の特徴やメリット・デメリットを解説
近年、外壁塗装や屋根塗装で無機塗料を使用するケースが増えてきています。
無機塗料は他の塗料と比べて費用が高いのですが、耐用年数が長いため、長期的なメンテナンス費用を抑えることができるため、注目されている塗料です。
この記事では、この無機塗料の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
外壁塗装などを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
無機塗料とは
無機塗料とは、無機物(炭素を含まないもの)を配合して作られた塗料です。
無機物は、紫外線で劣化せず、硬くて燃えにくい性質があります。
無機塗料は、主にセラミックやケイ素などが主成分となっています。
従来の塗料は、有機物(炭素を含むもの)が主成分であるため、有機塗料と呼ばれています。
有機物は、アクリルやウレタンなどの樹脂のことです。
有機物の樹脂は柔軟性がありますが、紫外線により劣化するという特徴があります。
すべてを無機物で構成すれば、半永久的に劣化しない塗料になりますが、その場合は硬いため塗料として塗ることができません。
そのため無機塗料では、無機物の耐久性を活かしながら、有機物を混ぜて使えるようにしています。
無機塗料の費用相場
ここでは、無機塗料の費用の相場について解説します。
無機塗料の費用の相場は、1平方メートルあたり5,000円〜5,500円程度となっています。
他の塗料の相場は、
アクリル塗料:1,000円~1,500円
ウレタン塗料:1,800円~2,000円
シリコン塗料:2,300~3,000円
フッ素塗料:3,500~5,000円
光触媒塗料:4,200~5,000円
が目安です。
一般的によく使われているシリコン塗料と比較しても、1平方メートルあたりの秘奥が2倍程度となっているため、無機塗料はかなり高額な塗料と言えます。
無機塗料は性能が高い塗料ですが、コストをできるだけ抑えたい場合には不向きかもしれません。
無機塗料のメリット
ここでは、無機塗料のメリットについて解説します。
耐用年数が長い
無機塗料は、耐候性(紫外線に対する強さ)が高いのが特徴です。
これは、塗料の主成分が無機物で構成されているため、紫外線による劣化がほとんどないためです。
無機塗料の耐用年数は20年〜25年程度となっていて、他の塗料と比較してもかなり長くなっています。
カビ・コケが繁殖しにくい
無機塗料は、カビやコケが繁殖しにくい特徴があります。
カビやコケは有機物を栄養源としていますが、無機塗料には有機物が少ないことが理由です。
外壁にカビやコケが繁殖すると、外観が悪くなってしまい、さらに建物自体を劣化させる原因になります。
無機塗料を使うことで、外壁の外観をきれいに保持できる上、素材そのものを保護することもできます。
汚れが落ちやすい
無機塗料は、親水性が高いため、表面に付いた汚れが雨などで落ちやすいという特徴があります。
外壁は常にさらされた状態であるため、砂埃や排気ガスなどの汚れが付着しやすくなっています。
ただ、無機塗料は親水性が高いため、これらの汚れも雨などで流れ落ちるため、外壁がきれいな状態を保ちやすくなります。
特に汚れがつきやすい場所にある建物には、無機塗料がおすすめです。
燃えにくい
無機塗料は火に強いため、燃えにくいという性質があります。
無機塗料の主成分の無機物が燃えにくいことが理由です。
無機塗料はすべてが無機物ではなく、有機物も含んでいるため、全く燃えないわけではありません。
ただ、有機塗料と比較して、かなり燃えにくくなっています。
外壁が燃えにくくなっていると、周囲で火事が発生した場合でも、燃え移りにくいため、二次災害を防ぐことができます。
無機塗料のデメリット
ここまで、無機塗料のメリットについて解説しましたが、デメリットも存在します。
ここでは、そのデメリットについて解説します。
費用が高い
無機塗料は性能が高い塗料ですが、他の塗料と比較して費用が高いのがデメリットです。
無機塗料の費用の相場は、1平方メートルあたり5,000円〜5,500円程度となっていて、一般的によく使われているシリコン塗料の2倍以上となっています。
この費用の差は塗装する面積が大きいとさらに広がるため、外壁塗装の工事全体の費用がかなり高額になってしまいます。
そのため、使うことができる予算が少ない場合、無機塗料は使用できないかもしれません。
ひび割れしやすい
無機塗料の塗膜は硬い特徴があるため、ひび割れが発生しやすくなっています。
ひび割れは塗膜を劣化させ、建物の劣化にもつながるため、ひび割れが発生しやすい外壁には不向きです。
ただ、最近では塗膜の弾力性が高い無機塗料もあるため、そのような塗膜を使うことで対応が可能です。
再塗装ができない場合がある
無機塗料には、塗膜に汚れが付着しにくいという特徴があります。
そのため、再塗装をする場合には、新しく塗る塗料と古い塗膜が密着しにくく、すぐに剥がれてしまうことがあります。
場合によっては再塗装ができないことがあるため、注意が必要です。
職人の知識・技術が必要
一般的に、塗装工事には職人の知識と技術が重要です。
性能が良い塗料を使った場合でも、施工の質が悪いと性能を発揮することができません。
無機塗料は比較的新しい塗料であるため、使った経験や知識が少ない業者も多くなっています。
無機塗料を使いたい場合は、無機塗料での施工実績が豊富な業者に依頼するようにしましょう。
無機塗料の中でも質に幅がある
無機塗料と言っても種類は一つではなく、様々な種類の無機塗料が販売されています。
無機塗料は無機物が主成分の塗料ですが、無機物がどの程度含まれていれば無機塗料である、という定義が決まっていません。
そのため、無機物を少しだけ配合された塗料でも無機塗料と表記できることになっています。
このように、無機塗料の中でも性能には幅があるのが現状です。
性能が高い無機塗料を選ぶためには、製造メーカーに実績があるかどうか、カタログなどに塗料の試験結果が掲載されているかどうかを事前に確認しましょう。
無機塗料がおすすめなのはこんな人
ここでは、無機塗料がおすすめな人について解説します。
長期的なコストパフォーマンスをよくしたい
無機塗料は費用が高いというデメリットがありますが、長期的なコストは安くなることがあります。
その理由は、無機塗料の耐用年数が長いため、外壁塗装の工事の回数を減らすことができるためです。
短期的に見ると費用は高額になりますが、20年〜30年という長期で見ると、耐用年数が長い塗料であるほどコストパフォーマンスは良くなります。
無機塗料は耐用年数がかなり長いため、長期的にコストパフォーマンスをよくしたい場合は、無機塗料がおすすめです。
とにかく長く持たせたい
無機塗料は耐用年数が20年〜25年とかなり長いのが特徴です。
そのため、外壁塗装の工事をしばらく行いたくない、家のメンテナンスを最後にしたい、という方には、無機塗料が適しています。
反対に、外壁を流行りの色にこまめに塗り替えていきたい方の場合は、無機塗料はコストがかかるためおすすめできません。
無機塗料は長期的なメンテナンスの計画を考えてから選ぶようにしましょう。
代表的な無機塗料
現在、無機塗料は様々なメーカーから販売されています。
ここでは、無機塗料の代表的な製品をいくつか紹介します。
アプラウドシェラスターNEO(日本ペイント)
「アプラウドシェラスターNEO」は、大手塗料メーカーの日本ペイントから販売されている超耐候性・低汚染性がある水性2液型無機塗料です。
フッ素塗料を上回る耐候性と親水性による低汚染性が特徴で、無機塗料なのに有機塗料のような弾力性がある塗膜になるため、無機塗料のデメリットであるひび割れが発生しにくく、再塗装もしやすくなっています。
セラミタイトペイント(エスケー化研)
「セラミタイトペイント」は、エスケー化研から販売されている無機塗料です。
一液タイプの無機高分子を結合材として用いた水性つや消し塗料であるため、硬く緻密な構造を示す塗膜で、長期間にわたって建物を保護することができます。
耐汚染性・乾燥性・作業性に優れていて、安全で取り扱いが簡単なのがメリットです。
アレスシルクウォール(関西ペイント)
「アレスシルクウォール」は、大手メーカーの関西ペイントから販売されている水性一液型無機塗料です。
強靭で伸びやすい塗膜を形成し、無機成分を含みながら、微弾性系下塗りや弾性系下塗りなど幅広く対応できるのが特徴です。
スーパーシャネツサーモシリーズ(アステックペイントジャパン)
「スーパーシャネツサーモシリーズ」は、アステックペイントジャパンから販売されている屋根塗装用の無機塗料です。
特殊無機顔料を使用することで、高い日射反射率で屋根の温度上昇の原因となる近赤外線を効果的に反射することができます。
特殊無機顔料は紫外線の影響を受けにくいため、屋根の色の変化が起こりにくく、塗り替え後の美観を長期間維持することができます。
まとめ
ここまで、無機塗料の特徴とメリット・デメリットについて解説しました。
無機塗料は無機物を主成分とした塗料で、耐用年数が長い、カビやコケが発生しにくい、燃えにくい、汚れにくいという特徴があります。
ただし、無機塗料は費用が高く、ひび割れしやすいというデメリットがあり、施工には職人の技術と知識が必要です。
無機塗料は費用が高いため、施工費用が高額になりますが、耐用年数が高いことから、工事の回数を減らすことができます。
そのため、長期的に見るとコストを抑えることができるため、長期的に工事の回数を減らしたい場合におすすめです。
無機塗料は種類が多く、職人に技術が必要であるため、施工実績が豊富な業者に依頼するようにしましょう。
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