塗装の基礎知識
「セメント瓦」には塗装が必要!メンテナンス時期や費用相場を解説
日本の家屋では、屋根に瓦を使っているケースが多くなっています。
瓦には種類がいくつかありますが、セメントで出来ているセメント瓦というものがあります。
この記事では、このセメント瓦の特徴とメリット・デメリット、劣化症状とメンテナンスについて解説します。
セメント瓦とは?
セメント瓦とは、セメントを型に流し込み固めて作った屋根瓦のことです。
一般的によく使われている瓦は、粘土を焼いて製造しますが、セメント瓦は自由な形状で作ることが可能です。
また、形状を均一にできるため、隙間が生じにくく、台風などの災害時にもずれにくいという特徴があります。
セメント瓦のメリット・デメリットについて
ここでは、セメント瓦のメリットとデメリットについて解説します。
セメント瓦のメリット
セメント瓦のメリットとしては、耐久性と耐火性が高いという点があります。
耐用年数は30年〜40年と長く、セメントでできているため、燃えにくく耐火性が高くなっています。
耐火性が高いため、火災の際に家屋が燃える速度を抑えることが可能です。
また、セメント瓦はデザイン性が豊富なのもメリットで、形状や色のバリエーションが多く、和風の他にも洋風のデザインもあるため、屋根のデザインにこだわりたい方におすすめです。
セメント瓦のデメリット
セメント瓦のデメリットとしては、割れやすいという点があります。
セメント瓦の材料はセメントであるため、硬くしなりがないため、衝撃に弱くなっています。
そのため、瓦に物が当たるなど、衝撃を与えるとひび割れが発生してしまい、瓦の交換が必要です。
ひび割れの状態で放置すると、雨水が屋根の内部に浸入し、雨漏りの原因になるリスクがあります。
雨漏りは家屋自体を劣化させてしまうため、セメント瓦が割れてしまった場合は、すぐに交換や補修を行うようにしましょう。
セメント瓦のデメリットには、定期的なメンテナンスが必要な点があります。
一般的な瓦は塗装が不要ですが、セメント瓦は防水性を維持するために塗装する必要があります。
塗装は経年劣化するため、瓦の耐用年数があっても、塗料の耐用年数が短ければ再塗装が必要です。
そのため、塗り直しの工事を定期的に行わなければなりません。
セメント瓦の耐用年数は長いのですが、塗装の問題でメンテナンスや補修が必要になるケースもあります。
屋根は確認が難しい場所ですが、色褪せやひび割れなど、塗装や補修の必要がないかどうか、点検する必要があります。
セメント瓦の劣化症状について
ここでは、セメント瓦の劣化症状について解説します。
ここで紹介する劣化症状が見つかれば、セメント瓦にメンテナンスが必要かもしれません。
メンテナンス時期の判断の参考にしてみてください。
カビやコケが生えている
セメント瓦にカビやコケが生えている場合、塗装が劣化し防水性が低下している可能性があります。
カビやコケは水分を含むため、瓦をより劣化させてしまいます。
カビやコケは高圧洗浄機などで除去できるため、業者に依頼してみましょう。
ひび割れ・欠け
セメント瓦は、セメントでできているため、衝撃を与えるとひび割れが発生することがあります。
少しの衝撃でもひび割れが起きることがあるため、台風などの後は、セメント瓦にひび割れがないか確認するようにしましょう。
セメント瓦のひび割れを放置していると、そこから雨水が浸入してしまい、雨漏りの原因になります。
雨漏りは、場合によっては柱などに影響を及ぼすため、注意しましょう。
他にも、ひび割れた瓦を放置していると、強風などで瓦の一部が飛んでしまい、周囲に迷惑をかけるかもしれません。
変色、色褪せている
セメント瓦は、防水性を確保するために塗装していますが、その塗料が経年劣化すると、変色や色褪せが発生します。
もしセメント瓦に色褪せが発生していると、塗料が劣化していることになるため、外観が悪くなるだけでなく、防水性も低下しています。
防水性が低下すると、雨漏りの原因になる可能性があるため、注意が必要です。
セメント瓦の変色や色褪せは、メンテナンスを行う判断に利用できます。
瓦がズレている
瓦がズレている場合は、放置していると雨漏りの原因になるため、すぐに対処する必要があります。
地震や台風などの災害や、屋根材の重みなどが、瓦がズレる原因です。
セメント瓦のズレは、瓦の差し替え工事などで交換できますが、セメント瓦はすでに生産が終了しているため、交換する瓦がない可能性があります。
その場合、瓦をすべて他の種類の瓦に葺き替える工事が必要になるかもしれません。
雨漏りが発生している
もし雨漏りが発生している場合は、瓦のひび割れや塗装の劣化など、屋根の防水性そのものに問題がある可能性があります。
雨漏りを放置していると、建物の柱などの主要な構造部にまで影響が出てしまうため、早急に補修を行う必要があります。
屋根の劣化状況によっては、屋根の葺き替え工事が必要になるかもしれません。
チョーキング現象が起きている
セメント瓦にチョーキング現象が起きている場合は、塗装が劣化している可能性があります。
瓦は常に風雨や紫外線にさらされているため劣化しやすい部分で、塗膜が劣化することで、塗料が粉状になることで発生します。
チョーキングが起きている場合は、塗膜が劣化しているため、防水性が低下しているため、すぐにメンテナンスを行いましょう。
瓦の再塗装を行うことで、瓦の寿命を延ばすことができるため、メンテナンスにかかる総合的な費用を抑えることができます。
瓦のチョーキングは直接触れないと確認できないため見つけにくいですが、数年に一度は点検を行うようにしましょう。
セメント瓦の耐用年数とメンテナンスの時期
ここでは、セメント瓦の耐用年数とメンテナンスの時期について解説します。
セメント瓦の耐用年数とは?
セメント瓦の耐用年数は、その家屋がある環境により異なります。
セメント瓦の一般的な耐用年数は、25年〜40年ですが、紫外線が強い地域や豪雪地帯などの厳しい環境下では、10年〜20年程度になるケースもあります。
また、セメント瓦はセメントが原料であるため、表面の塗装が必要です。
塗装を行わないと防水性が確保できず、水分が内部に染み込んでしまいます。
メンテナンスの時期
セメント瓦を耐用年数まで維持させるためには、表面の塗装が必要になります。
塗装は経年劣化するため、定期的に塗装を行うメンテナンスが必要です。
この塗装は、10年に一度行うのが目安とされています。
ただし、瓦の状態は環境などに影響されるため、定期的に点検を行いましょう。
瓦に塗装の剥がれやひび割れがある場合は、すぐにメンテナンスをする必要があります。
また、使用する塗料によってもメンテナンスの時期が変わります。
耐久性や防水性が高い塗料を使用すれば、メンテナンスの時期を遅らせることが可能です。
メンテナンスの頻度を少なくしたい場合は、高性能な塗料を使うようにしましょう。
セメント瓦を塗装しない場合のリスク
セメント瓦は、防水性を維持するために、表面を塗装して使います。
もしセメント瓦を塗装せずに使うと、セメント瓦自体が劣化してしまい、葺き替え工事を行わなければならなくなります。
現在、セメント瓦は生産が終了しているため、同じ瓦が見つからない可能性が高く、その場合、瓦をすべて別の種類の瓦に葺き替える必要が出てきます。
セメント瓦を塗装せずに使うケースはまれですが、メリットがないため必ず塗装するようにしましょう。
セメント瓦の塗装にかかる費用の相場
セメント瓦の塗装にかかる費用は、使用する塗料の種類と塗装する面積、補修の有無などにより変動します。
塗料の費用は、
シリコン塗料が1平方メートルあたり1,800円
フッ素塗料が1平方メートルあたり3,500円
が相場です。
下地処理の費用は、
洗浄が1平方メートルあたり200円
古い塗装を削り取る作業が1平方メートルあたり400円
下塗りが1平方メートルあたり700円
が相場です。
さらに、足場の設置費用もかかります。
足場代は1平方メートルあたり約700円が相場ですが、施工費用に含まれるケースがあるため、業者に問い合わせてみましょう。
セメント瓦の塗装に用いられる塗料の種類
セメント瓦の塗装で用いられる塗料の種類には、シリコン塗料とフッ素塗料があります。
シリコン塗料は、シリコン樹脂が主成分の塗料で、耐久性が高く寿命が長いため、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。
フッ素塗料は、フッ素樹脂が主成分の塗料で、耐久性が高く汚れがつきにくいという特徴があります。
費用については、フッ素塗料のほうが高くなるため、予算などから塗料を選びましょう。
セメント瓦の塗装でDIYをおすすめしない理由
セメント瓦の塗装は、業者に依頼すると費用がかかるため、DIYで行いたいと思う方がいるかもしれません。
ただ、セメント瓦の塗装をDIYで行うことはおすすめできません。
セメント瓦の塗装は屋根で行う必要があるため、転落する恐れがあります。
また、セメント瓦は重量がある瓦であるため、作業が難しく、落としてしまい別の瓦を割ってしまうこともあります。
このように、屋根のDIYはリスクが高いため、業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
ここまで、セメント瓦の特徴やメリット・デメリット、メンテナンスについて解説しました。
セメント瓦はセメントでできた瓦で、耐久性と耐火性が高く、デザイン性が豊富なのがメリットです。
ただ、割れやすく定期的なメンテナンスが必要というデメリットがあります。
セメント瓦は表面を塗装する必要があり、塗装は劣化するため、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスは瓦のひび割れなどの補修や塗装の塗り直しなどが必要で、業者に依頼する必要があります。
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