塗装の基礎知識
スレート屋根のひび割れは放置しても大丈夫?放置するリスクやメンテナンス方法
日本の住宅で使われることが多いスレート屋根ですが、経年劣化などでひび割れが発生することがあります。
この記事では、このひび割れを放置する場合のリスクやメンテナンス方法などについて解説します。
スレート屋根がひび割れる原因は?
スレート屋根がひび割れる原因は、さまざまなものがあります。
ここでは、その原因について解説します。
経年劣化
スレート屋根は、年月が経過すると劣化が進行していきます。
劣化の度合いが一定レベルを超えると、さまざまな劣化症状がみられるようになります。
劣化症状としては「ひび割れ」が多く、他にも、「色あせ」「カビの発生」「塗膜の膨れ・剥がれ」「欠損」などがあります。
飛来物
台風や強風などで飛ばされたものがスレート屋根にぶつかると、その衝撃でひび割れが発生する場合があります。
そのため、台風などの後はひび割れがないか確認する必要があります。
屋根の上の工事
アンテナや太陽光パネルの設置など、スレート屋根の上で工事を行うことがあります。
この工事が原因でスレート屋根にひび割れが発生することがあります。
また、スレート屋根に設置したアンテナや太陽光パネルの重さが原因でひび割れが発生することもあります。
踏み割れ
スレート屋根を踏むことで、ひび割れが発生する場合があります。
特に、スレート屋根の経年劣化が進んでいると、屋根自体が脆くなっているため、踏み割れが発生しやすくなっています。
また、スレート屋根を施工した際の釘の打ち方や野地板の張り方などによっては、踏み割れが生じやすくなっていることがあります。
スレート屋根のひび割れは補修すべき?
スレート屋根はひび割れが発生しやすい屋根材です。
このひび割れは補修すべきかどうか分からない方がいるかもしれません。
ここでは、スレート屋根のひび割れを補修すべきかどうか解説します。
スレート屋根のひび割れは補修が必要
スレート屋根に発生したひび割れは、補修が必要です。
もし補修せずに放置していると、スレート屋根自体がダメになったり、雨漏りが発生する原因になる場合があります。
スレート屋根にひび割れが発生すると、ひび割れた場所から雨水が浸入します。
浸入した雨水はスレート屋根に浸み込むようになり、腐食が進むリスクがあります。
また、ひび割れから浸入した雨水が、スレート屋根の下まで浸入してしまうと、雨漏りが発生するリスクもあります。
スレート屋根の下には防水シートがあるため、すぐに雨漏りになるわけではありませんが、ひび割れを放置していると雨水が浸入し続けるため、最終的に雨漏りが発生してしまいます。
補修のタイミングは専門業者に相談
スレート屋根に発生したひび割れは補修が必要ですが、どの程度のひび割れであれば補修が必要なのか分からない方も多いのではないでしょうか。
特に、少しのひび割れが発生する度に業者に補修を依頼していると、多くの費用がかかってしまいます。
実際は、ひび割れの状況によっては、しばらく様子見をしていても問題がないケースがあります。
また、屋根塗装の予定がある場合は、それまで様子見をするか、屋根塗装の時期を早めるという選択肢もあります。
ただ、これらの判断は自分で行うのは難しいため、専門業者に相談して判断するようにしましょう。
専門業者に相談することで、補修工事の内容や補修にかかる費用の見積りをしてもらえるため、補修の時期を検討しやすくなります。
スレート屋根の寿命と劣化症状について
スレート屋根は年月が経つことで、さまざまな劣化症状が発生します。
ここでは、スレート屋根の寿命と補修が必要な劣化症状について解説します。
スレート屋根の寿命について
一般的に、スレート屋根の寿命は20年前後と言われています。
この寿命とは、屋根材としての耐久性が失われ、防水性などがなくなってしまう年数のことです。
スレート屋根の場合、耐用年数は環境によって異なりますが、20年程度を目安に屋根を新しいものに葺き替えるか、カバー工法でメンテナンスを行う必要があります。
また、スレート屋根の寿命は20年ありますが、その間メンテナンスをしなくていいわけではありません。
スレート屋根の寿命を維持するためにも、定期的なメンテナンスが必要です。
スレート屋根の劣化症状
スレート屋根が経年劣化すると、さまざまな劣化症状が発生します。
ここでは、この劣化症状について解説します。
色あせ・変色
スレート屋根の表面が白っぽくなったり色あせて見える場合は、スレート屋根の表面の劣化が始まっています。
表面が白っぽい場合はチョーキングが発生している可能性が高く、塗膜が劣化しています。
この場合、屋根塗装を行うことで、屋根の防水性を確保することが必要です。
塗膜の剥がれ
塗膜がさらに劣化すると、剥がれが発生します。
劣化がこの段階まで進むと、スレート屋根の防水性はほぼ失われていて、スレート屋根が水分を含む状態になっています。
塗膜の剥がれがある場合は、早急に塗装を行うことが必要です。
塗膜の剥がれを塗装で補修する場合は、ヤスリなどで古い塗膜を除去(ケレン)してから塗装を行います。
ケレンを行わず塗装すると、古い塗膜が原因で施工不良が起こる可能性があります。
コケやカビの発生
スレート屋根の防水性が失われると、スレート屋根自体が水分を含むようになり、屋根の上にたまったホコリなどを栄養分として、コケやカビが発生します。
コケなどが発生すると、外観が悪くなるだけでなく、屋根の表面の湿度が高くなり、劣化がさらに進行してしまいます。
スレートが反る、割れる
スレート屋根の塗膜が剥がれ防水性がない状態を放置していると、スレート屋根自体に雨水が浸入してしまい、スレートが脆くなってしまいます。
また、雨水の吸収と乾燥を繰り返しているうちにスレート屋根が変形し、反りや割れがみられるようになると、スレート屋根の下の防水層の劣化が早まるため、雨漏りのリスクも高くなります。
この状態は劣化がかなり進行しているため、塗装ではメンテナンスしきれず、屋根自体を吹き替えするなど、大規模なメンテナンス工事が必要です。
スレート屋根のひび割れ補修方法
スレート屋根のひび割れの補修には、いくつかの方法があります。
どの方法で補修するかについては、専門業者と相談して決めるのが一般的ですが、その方法で問題がないか不安になる方がいるかもしれません。
ここでは、一般的なスレート屋根のひび割れの補修方法と費用の相場について解説します。
専門業者から提案された内容を検討する際などに参考にしてみてください。
部分補修
スレート屋根の部分補修は、接着剤やコーキング材などでひび割れの場所をふさぐ方法です。
ひび割れの程度が軽微な場合や、ひび割れが部分的な場合は、この部分補修で行うことが多くなっています。
部分補修の費用の相場は、数万円~が目安です。
塗装(塗り替え)
塗装もスレート屋根のひび割れの補修方法です。
ひび割れの程度によっては、部分補修を行った後に塗装を行うケースもあります。
塗装で補修を行うのは、ひび割れが多数ある場合や経年劣化でひび割れが発生している場合です。
塗装を行うことで、ひび割れの補修ができる上、色あせや塗膜の剥がれなどの劣化症状の補修も可能です。
また、塗装することで屋根の外観をきれいにできるというメリットもあります。
スレート屋根の塗装の費用の相場は、40万円〜60万円が目安です。
(一般的な50〜80㎡で足場込みの費用)
カバー工法(重ね葺き)/葺き替え
部分補修や塗装では補修できない場合は、カバー工法(重ね葺き)や葺き替えで補修します。
ひび割れの進行がひどく、防水シートや野地板が損傷している場合は、葺き替えで補修を行います。
カバー工法(重ね葺き)とは、既存のスレート屋根をそのまま残し、上から新しい屋根をかぶせる工法です。
一方、葺き替えは、古いスレート屋根をすべて撤去してから、必要に応じて防水シートや野地板を補修し、新しい屋根を施工する工法です。
カバー工法(重ね葺き)の費用の相場は80万円~、葺き替えの費用の相場は100万円~となっています。
屋根の補修はDIYでできる?
スレート屋根を補修する場合、少しの補修ならDIYでもできるのでは?と考える方がいるかもしれません。
実際、高さが低い場所の屋根で、簡単な補修であればDIYでも可能です。
ただし、高所での作業は危険なのでやめましょう。脚立を使う場合は2人以上で作業を行い、1人は脚立を押さえることで転倒を防止しましょう。
行う補修の内容についても、ひび割れをコーキングで直す程度の簡単な応急処置に留めておきます。
スレート屋根は、しっかり補修ができていないと、下の防水層に雨水が浸みこみ、雨漏りが発生するかもしれません。
DIYで行う場合は、あくまで応急処置程度と考えておいてください。
まとめ
ここまで、スレート屋根のひび割れのリスクやメンテナンスの方法について解説しました。
スレート屋根は経年劣化や踏み割れなどで、ひび割れが発生しやすい屋根材です。
スレート屋根のひび割れは補修が必要で、放置していると雨水が浸入しスレート屋根自体が脆くなったり、下の防水層が損傷することで、雨漏りが発生するリスクがあります。
スレート屋根の補修は、劣化症状などから必要かどうかを判断できますが、可能であれば専門業者と相談することをおすすめします。
スレート屋根の補修はDIYでも可能ですが、高所の作業は危険である点とうまく補修しないと雨漏りの原因になるため、本格的な補修は専門業者に依頼するようにしましょう。
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