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塗装の基礎知識

ALC外壁の種類や特徴、メンテナンス方法を解説

ALC外壁の種類や特徴、メンテナンス方法を解説

現在では、住宅に使用される外壁の素材には、さまざまな種類があり、この素材の中でも、ALCを使った外壁が注目を集めています。
この記事では、ALC外壁の種類や特徴、メリット・デメリット、メンテナンスの方法について解説します。
住宅での外壁選びの際に参考にしてみてください。

ALC外壁の特徴

ALC外壁のALCは、Autoclaved Lightweight aerated Concreteの頭文字を取った名称で、高温高圧蒸気養生した軽量な気泡コンクリートのことです。
ALCの原料は、珪石、セメント、生石灰などとなっていて、内部に気泡を含んでいるのが特徴です。
ALCは外壁だけでなく、屋根や床などにも使用されている建材で、住宅以外でも高層ビルやショッピングセンターなど、さまざまな建物で採用されています。

ALC外壁の種類

ALC外壁は、大きく分けて厚型と薄型の2種類に分類されます。
厚型は、厚さが75mm以上のもので、主に鉄筋コンクリート造などの耐火建築物に使用されます。
薄型は、厚さが35mm〜75mm未満のもので、主に木造や鉄骨造に使用されます。

また、厚型と薄型のそれぞれで一般パネルとコーナーパネルの2種類が存在し、さらに表面加工が異なる平パネルと意匠パネルに分けられています。

日本国内では、ALC外壁を製造しているメーカーが3社あり、それぞれ特徴が異なる製品を販売しています。
日本国内のALCメーカーは3社あり、それぞれ種類の異なる製品を販売しています。

住友金属鉱山シポレックス(株):シポレックス、スーパーボードなど

旭化成建材(株):ヘーベルライト、ヘーベルパワーボードなど

クリオン(株):クリオンライト、クリオンエースボードなど

ALC外壁は、住宅の構造や環境により適しているものが異なるため、業者などと相談してからALC外壁を選ぶようにしましょう。

ALC外壁のメリット

メリット

ALC外壁には、さまざまなメリットが存在します。
ここでは、このメリットについて解説します。

耐久性が高い

ALC外壁は耐久性が高いという特徴があります。
ALC外壁は、適切な条件で使用し、定期的にメンテナンスを行えば、耐用年数が50年を超えると言われています。
そのため、住宅をメンテナンスしながら長く住みたい場合に最適です。

断熱性・耐火性に優れている

ALC外壁は、内部に気泡があり空気の層を作るため、熱伝導率が低く、断熱性・耐火性に優れている素材です。
通常のコンクリートと比較して、断熱性は約10倍あるとされています。
また、燃えにくい耐火構造となっているため、耐火性・防火性にも優れています。
他にも、原料が無機質なもので作られているため、火災が発生した場合でも、有害物質が発生しません。

軽量で遮音性が高い

ALC外壁は、通常のコンクリートと比較して軽量なのが特徴です。
重量は通常のコンクリートの約4分の1程度で、軽量ながら強度もあるため、遮音性が高くなっています。
内部にある気泡が音を吸収するため、住宅内に音が伝わりにくく、生活音などが聞こえにくく、プライバシーの保護に役立ちます。

耐震性が高い

ALC外壁の取り付けは、ロッキング構法で行うのが一般的です。
このロッキング構法とは、地震発生時に鉄骨が変形した場合でも、パネルが回転(ロッキング)するため、変形による損傷を軽減することができる構法です。
この構法により、耐震性が高くなっています。
実際、過去の大地震でも、ロッキング構法で取り付けたALC外壁パネルは、ほとんど損傷を受けていないという実績があります。

調湿性に優れる

ALC外壁は、調湿性にも優れています。
ALC外壁は多孔構造であるため、室内の空気中の水分量をコントロールすることで、結露の発生を抑えることができます。
湿度が高い場合は湿気を吸い、乾燥している場合は湿気を吐き出すため、湿度を一定に保ちたい場合におすすめです。

デザインの自由度が高い

ALC外壁には、表面にデザイン加工が施された意匠パネルという種類があります。
この意匠パネルのデザインは各メーカーがさまざまなものをリリースしているため、デザインの自由度が高くなっています。
また、塗装によりさまざまな色にカラーリングすることができるため、デザインの幅がさらに広がります。

ALC外壁のデメリット

デメリット

ALC外壁にはデメリットも存在します。
ここでは、このデメリットについて解説します。

つなぎ目が多い

ALC外壁は、モルタルなどの塗り壁とは違い、建物に取り付けるタイプの外壁材であるため、パネル同士のつなぎ目が多くなるのが特徴です。
パネルを取り付けるタイプの外壁材にサイディングボードがありますが、ALC外壁のパネルはサイディングボードよりもサイズが小さいため、つなぎ目がよく多くなっています。
つなぎ目の部分は外壁材が存在しない部分で、浸水や雨漏りのリスクが高くなります。
そのため、ALC外壁のつなぎ目にはシーリング材でしっかりと埋めることが必要です。

防水性が低い

ALC外壁は吸水性が高い素材であるため、防水性が低くなっています。
また、内部の気泡部分に水が浸入してしまうと、膨張やひび割れが発生し、修復できなくなるケースもあるため注意が必要です。
予防策として、塗装をすることで防水性を高める必要があります。

施工の工程が多い

ALC外壁を使用する場合、他の外壁材と比較して施工の工程が多くなります。
サイディングボードなどは、工場出荷時にすでに防水塗装されているものが多いのですが、ALC外壁は施工の現場で表面を塗装する必要があるため、その分の工程が追加されます。

他の外壁材より費用がかかる

ALC外壁は機能が高く耐久性がありますが、他の外壁材よりも費用が高くなっています。

他の外壁材の費用の目安は、

窯業系サイディングが1平方メートルあたり3,000円〜
金属系サイディングが1平方メートルあたり4,000円〜
モルタルが1平方メートルあたり4,500円〜

となっていますが、ALC外壁の場合は1平方メートルあたり7,500円〜と費用が高くなっています。

ALC外壁は耐用年数が長いため、長期的に見るとコストパフォーマンスは良くなりますが、定期的なメンテナンスが必要なため、トータルコストを考慮するようにしましょう。

ALC外壁・塗装時の注意点

注意

ALC外壁は、塗装時に注意すべき点があります。
ここでは、この注意点について解説します。

外壁表面は防水塗料で保護する

ALC外壁は防水性が低いというデメリットがありますが、仕上げ材を使うことで防水性能を補います。
仕上げ材には防水性や弾性が高い塗料を使いましょう。
仕上げ材には、水性のシリコン系やフッ素系、ウレタン系、アクリル系塗料がよく使用されています。
また、仕上げ材に使う塗料の性能によってALC外壁の耐久性も変動するため、どの塗料を使うかについては、業者と相談した上で適した塗料を使うようにしましょう。

油性塗料の使用は避ける

ALC外壁は仕上げに塗装が必要ですが、その際に油性塗料は使わないようにしましょう。
油性塗料は浸透性が低いため、ALC外壁の調湿性能を活かすことができません。
また、油性塗料は密閉性が高いため結露が起こりやすく、ALC外壁とは相性が悪くなっています。

シーリング材の点検も行う

ALC外壁のつなぎ目には、シーリング材を注入します。
雨水などの浸入を防ぐためには、しっかりとシーリング材を注入する必要がありますが、シーリングに一定の厚みがないと劣化が早まる場合があります。
また、シーリング材は経年劣化でひび割れや肉痩せが発生するため、定期的な点検が必要です。
もしシーリング材が劣化している場合は補修が必要です。

補修の方法には、「増し打ち」「打ち替え」の2種類あります。
「増し打ち」は、既存のシーリングの上に新しいシーリング材を充填する方法で、「打ち替え」は、既存のシーリング材を撤去し、新しいシーリング材を打ち直す方法です。

状況によって適切な工法が異なるため、業者に点検してもらうようにしましょう。

定期的な点検・メンテナンスが重要

ALC外壁の劣化を防ぐためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが重要です。
ALC外壁のメンテナンスは劣化症状が出る前に行うことが重要で、5年〜10年を目安に点検を行い、塗替えなどを行いましょう。
また、ALC外壁のパネル自体が破損している場合は、専用の補修材などで修復する必要があります。
ALC外壁の耐用年数の目安はありますが、ひび割れや欠損などが見つかった場合は、年数に関わらず早めに対処しましょう。

ALC外壁のメンテナンス方法

メンテナンス

ここでは、ALC外壁のメンテナンス方法について紹介します。

塗装

ALC外壁のパネルの表面には塗装を行いますが、この塗装が剥がれていたりひび割れがある場合は塗装のメンテナンスが必要です。
塗装は、既存の塗膜の上から再塗装することで行います。

シーリング補修

ALC外壁ではつなぎ目のシーリングが重要です。
もしシーリングにひび割れや剥がれがある場合は、シーリングの補修が必要です。
シーリングの補修は、既存のシーリングを剥がして新しいシーリング材を埋め込む方法や、既存のシーリングの上から新しいシーリング材を注入する方法があります。

パネルの交換(張替え)

もしALC外壁のパネルが割れていたり破損がある場合は、パネルの交換が必要です。
この場合、破損したパネルを新しいパネルと交換します。

まとめ

ここまで、ALC外壁の種類や特徴、メリット・デメリット、メンテナンス方法について解説しました。
ALC外壁は内部に気泡がある軽量なコンクリート素材で、耐久性・耐火性・遮音性が高い点が特徴です。
耐用年数が長くデザイン性が高いというメリットがありますが、防水性が低くつなぎ目が多いためシーリングが必要というデメリットがあります。
ALC外壁の耐用年数を長くするためには、定期的なメンテナンスが必要で、劣化症状が見つかれば、塗装やパネルの交換などを行う必要があります。
ALC外壁は費用が高いのですが、耐用年数が長いため長期的なコストパフォーマンスが高くなっています。
ALC外壁の耐用年数を長くするため、定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。

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